人生を語らず(38)もう一つの人生

僕の人生を変えた吉田拓郎

  いったいこの人と出会わなければ、僕の人生は今頃どうなっていたのだろう? 「僕の人生の今は何章節目ぐらいだろう」 という歌があるけれど何章節目であれ、全く違うレールの上を歩いていたんだと思います。かつては一部上場企業にも身を置いたこともある僕です(信じられないですよね、こんな出来損ないが)。バリバリ、サラリーマンを全っとうしたのかな? いやいやそんなことはないでしょう。なにしろ生来怠け者の僕がサラリーマンでい続けられるわけがありませんよ。

 そうそうそれともう一つ。僕は日大の芸術学部に行きたかったのですが、合格発表を見に行ってくれた知人が(その日僕は、別の大学の入試があった)、「おいっ、名前ないぞ!」 と知らせてくれました。ところが、なんと実際は合格していたんですね。知人の全くの見落とし。ああ、日芸に行っていたら、僕の人生はどんなだったんだろう? しかしまぁ、「たら」「れば」を想像するのは全く無意味なこと。今ある人生をよし!としないと。