人生を語らず(103) 幸福のレシピ

 「ジメジメしてやだなあ、洗濯物も外に干せないし」 と君が言う

 僕は雨が好きなので梅雨の季節嫌いじゃないんだ

「あなたホントはネクラなのね」 と君が言う

 いや、きっと怠惰なだけなんだ 雨降りは仕事休んでもいいかなって

「雨と関係ないお仕事じゃないの」 と君が言う

 そうそう気分の問題かな 子供の頃からそうだった

「だからネクラなのよ」 と君が言う

 そうですか、ネクラでもいいけどこれからもよろしくね 

 愛しているよ

 

「今夜の夕食何がいい お買い物に行こうよ」 と君が言う

 僕の好物知っているでしょ マーボー豆腐が食べたいよ

「昨日も食べたばかりじゃない」 と君が言う

 それじゃあシンプルに湯豆腐って手もあるなあ どうでしょう

「あなたお豆腐ばっかり 私はイヤ」 と君が言う

 冷奴でもいいんだけれどさすがに口には出せないな

「まさか冷奴だなんて言わないよね」

 いやいやお見それしました すっかりお見通しじゃない

 愛しているよ

 

「日帰り温泉行こうよ さっぱりしたい」 と君が言う

 サウナも入るから時間かかるけど もちろん承知してるよね

「はいはい2時間でしょ」 と君が言う

 今日は北信五岳が一望できる穴観音の湯って気分かな

「あそこは私も好きだな」 と君が言う

 結構あちこちの温泉 入って回ったよね

「ガイドブックでも作ります?」 と君が言う

 日帰りと言うからには片道最大2時間が限度かな

 愛しているよ