人生を語らず(178) 心霊現象?

僕の家は築年不詳の昭和中期の家てす。玄関は南に面しているので北側の路地から入らなければなりません。訪問者は家の敷地を縦断するわけです。そして浴室はそれに面しています。従って風呂に入っているとき、訪問者の影が目に自然に入るわけです。

昨日のことです。明らかに横切る人の影が視界に入りました。これはすぐにピンポンだなと思い、バスタオルを巻いて身構えていたのですが、一向にピンポンが鳴りません。玄関で戸惑っているのかな、と思い浴室を出ました。しかし、人の気配は全くないではありませんか。

えっ? 俺が見た、確かに見たあの影は一体、何? 錯覚なんかじゃないぞ、断じて。

そこで僕はこう思うことで決着をつけました。あれは男の影じゃなくて、俺がかつてつきあった数え切れない女性の一人なんだ。俺に未練があって様子を見に来たんだ、と。あっ、ウソ、ウソ。そんなことありえへ~ん! いずれにしてもどうやら僕は恐ろしく楽観的な男です。