マスターの独り言(21)空手後日談

 マスターの独り言(19)空手の時代には後日談があって、僕が大山倍達に手紙を書いたのが中学2年。それから3年たったある日のことです。僕は高校2年になっていました。学校から帰ると大きな封書が届いていました。差出人は極真会館。それを見たおふくろは 「おまえ、変な人たちとつき合っているんじゃないだろうな、そういうつき合いはやめておきなよ」 と眼が吊り上っている。考えてみれば 「極真会館」 という文字だけ見れば知らない人にとってはなにやら物騒なムードがありありと漂う。おふくろの心配も無理のないことです。

 さて中身は次のようなものでした。 貴君もあれから厳しい鍛錬をされたことと思います。つきましては近く『第1回空手道オ^プントーナメント』を実施します。貴君の青少年の部での出場を楽しみにしています、という通信文。そして出場申込書にパンフレット。僕の反応は、というと今、思い出しても恥ずかしい。すくっと立ち上がるや 「大山先生、僕はそのような鍛錬はしてきませんでした。期待にそえなくて申し訳ありません!」 と誰もいない自室で一礼。『柔道一直線』で主人公、一条直也が師、車周作に詫びをいれるシーンそのもの。あ~あ、俺って、よっぽど梶原一騎に毒されちゃったんだなぁ。いやはやなんともマンガチックな人生です。