人生を語らず(96) Sの旗

人それぞれに人それぞれの人生があって

どう生きれば正しいなんてことは言えない

夢多い人もいれば おそろしく現実的な人もいる

幸か不幸か僕は夢ばかりみてきた

思い続ければ夢は必ず叶うと 夢を叶えた人は言う

でもそれは違う 夢破れたドラマは枚挙にいとまがないもの

言い方を変えればいい 思い続けなければ夢は叶わないと

結婚して子供ができて あるいは出世昇進 そうした当たり前の現実の中で

夢多い人もそれどころではなくなる そしていつのまにか夢に見切りをつけている

 

人それぞれに人それぞれの人生があって

自分のこと棚にあげて他人の生き方をとやかく言えない

僕の夢はひとえに 自分だけの旗で生きることだった

それが僕に染みついた思いだった

組織に属してそれなりに頑張ろうと思った時代も確かにあった

だけど決まって僕に呼びかける心の声がある それでいいのかと

その声を振り払おうともしたし 無視してかかろうともした

だけどその声は日増しに大きくなるばかりで 鎮まる気配さえみせなかった

きっと誰もが一度や二度こんな葛藤に悩んだはずだ どんな結論であれ尊い

 

思い続けても夢は叶わないが 思い続けなければ夢は叶わない

僕にはS の旗 S の旗があるばかり

僕にはS の旗 S の旗風になびかせて