人生を語らず(208) 行きは電車、帰りは歩き

8月いっぱいで駐車場契約をやめ、電車で出勤することにしました。帰りはどうするかと言えば、たいていは歩きです。約35分、3.5km の道のりです。

だいたいが店で飲んでしまうわけで、1F の「なごり雪」の小上がりで寝ていくか、タクシーで帰るか、どちらにしても車は置いていくことになります。それでもって翌日にはわざわざ車を取りに来なければならない。こんなムダなこと、5年も続けていました。

身体にはいいし、駐車代はなくなるし、いいことづくめですよ。そうそう、こんなこともありました。交差点で信号待ちをしているとき、ふと目を落とすと、電柱の陰に大きなビジネスバッグが落ちているではありませんか。「もしかしたら1億円!」などと胸が踊りましたが、金目のものは何もなく翌朝早く交番に届けました。お巡りさんと中の確認をしているとき、息せき切って一人の若者が飛び込んできました。「それ、私のです」と叫ぶ。「えっ、どうしてここにあるとわかりました?」と異口同音に尋ねる。「GPS ですよ」「なるほどぉ」… ま、そんなわけでバッグはめでたく落とし主の元にもどり、僕はと言えば謝礼の1万円を頂いたと、こう言うお話です。あっ、言っておきますが、僕は謝礼を固辞したんですよ。でも彼がそれではどうしても気がすまない、と言うので、ま、彼の気持ちを尊重してね。