マスターの独り言(15) 夢の光景

 テーブルを二つくっつけて、そこに10人ほどの人たちが陣取り談笑している。その中に『猫』の常富さん、内山さん、石川さん、そして四角佳子さんがいる。僕たちの用意したツマミを頬張りながらお酒を飲んでいる。

 かつて『雪』、『地下鉄に乗って』、『昼下がりの街』、『僕のエピローグ』など幾多の歌を聴きそして歌ったものだ。 四角佳子さん。彼女が何者であるか、書くまでもないだろう。彼らが今、わずか13坪の僕の店にいる。僕の店にいてお酒を飲んでいる。

 彼らに憧れていた高校生の僕は40年後、こんな光景を目の当たりにすることを想像できただろうか。まさに夢の光景。2010年12月3日の出来事・・・。オープンして2か月めのこと。

 2011年4月1日。やはりテーブル二つを取り囲んで10数人の輪。中心にブレッド&バターの二人がいる。若い人たちには馴染みがないだろうけど、僕にとってはやっぱり雲の上の人。『野生の馬』、好きだったな。

 ここに拓郎が来てくれたらいいね。そんな話しを常連さんたちとしょっちゅうしている。そうしたら俺、もう店やめてもいいや、なんてゴメンこれマスターの独り言。