マスターの独り言(34)大人の青春

 サラリーマン時代はずっと営業畑を歩いていました。しかしこの営業マン、成績は、というとさっぱりウダツが上がらないのです。どうやら商売には不向きのようでありました。そんな僕が仮にもフォーク酒場など始めて、しかも10ヶ月持ち堪えているのですから正直、驚きです。それもひとえにお客さんの後押しがあればこそです。いいお客さんにめぐり合えてよかったな、とつくづく思います。過日、テレビの取材があったのですが、取材中もそして取材の後もそんな思いをひしひしと感じました。彼らは物怖じもせず、ステージで歌ったり、インタビューに答え、大いに盛り上げてくれました。

 しかしそれにしてもです。彼らのはしゃぎようと言ったら、中学生や高校生と何も変わりません。子供の頃、大人はどんな話しをしているのだろう? 子供にはわからない難しい話しをしているんだろうな、と思っていましたが、どうやら本質は変わらないような、そんな気がします。ジュースやコーヒーがアルコールに変わっただけみたいな・・・。

 近頃、僕は思うのであります。一応僕は 「飲み屋の店主」 ということになっていますが、70年代に青春していた人たちがあの頃に戻って自分を取り戻す、そんな居心地のいい 「空間&時間提供業」 ではないのか、と。しかもタイムスリップするだけではなく、それが明日への活力になれば言うことなしです。そんなわけでおじさんたちは今日も老体にムチ打つのです。

 古い水夫でも 新しい海へ漕ぎ出すことは できるだろう