マスターの独り言(46)1年ののち

 正式にオープンしたのが、昨年の9月30日なので、あと1ヵ月足らずで『拓郎age』、開店1周年ということになります。去年の今頃、内装工事はほぼ終えたものの、風俗営業の許可の関係であたふたとしていたことを思い出します。70年代のフォークの店がなんで風俗営業の許可なの?と国やら警察やらを随分恨んだものです。つまりは、歌を歌って楽しむ店などは社交飲食店、2号営業にあたるとのことでした。それはともかくとして、問題は許可を受けるには、けっこうなお金がかかるということです。自分で申請書を書くことはできても要領を得ない書類は却下の連続で、いったいどれだけ時間がかかるか、さっぱり見当もつかない、ということでした。そこで行政書士を通して、ということになるのですが、この費用がバカにならないわけです。開店資金はすでに底をついているので、まさに血を絞る、という思いでした。

 さて、店を開いたのはいいのですが、正直、1年後があるなんて、全く想像もできませんでした。2~3カ月で店仕舞い、なんて事態を想像することは容易なことです。誰かから資金的な援助を受けているわけでもなければ、仲間の後押しがあって、開店したアカツキには常連になるぜ、なんて力強い応援を受けていたわけでもなく、大海原にちっぽけな船で漕ぎ出したような、そんな心細さでした。それがどうにかこうにか、1年やってこれたのはやはりお客さんに恵まれた、というその一言に尽きます。 「やる気のないマスター」、「マスター、なんにも知らないんだね。それでよくやってるよ」etc.etc・・・・。 どうにもこうにもネガティブな評価ばかりですが、僕は元気です。それだけが取り柄です。

 しかしですねぇ、1年はどうにかやってきましたが、この先、次の1年があるのかないのか、それは神のみぞ知る、です。