マスターの独り言(47) 高円寺

 拓郎命、というフォーク酒場のマスターは多いと思います。そして店を始めるくらいだから、拓郎の歌はなんでもござれ、という芸達者な人たちがほとんどだと思います。ところが 『拓郎age』 のマスターときたら、全く持って例外中の例外。昨日も埼玉からやって来たハセちゃんに、「マスター、高円寺の輪唱やろうよ」 と言われドキリ!心臓が凍る思いでした。実は、この歌を歌うことを僕はずっと避けてきました。短くて、しかも単純なメロディの繰り返しで、一見とてもラクそうなのですが、単純なだけにリズムに乗れないと全くアウト~!なのです。そして僕はリズム音痴ときていて、なおかつそれをよくわきまえているので、絶対に人前で歌うまいぞ、と決めていたのです。ところがまぁ、ハセちゃんにうまいこと乗せられて歌うハメになったしまったわけです。 「マスター、一拍早いよ」 とか 「ここはこう歌うんですよ」 とかマンツーマンの指導を受けながら(笑)、どうにか歌えるようになりました。

 「高円寺」 と 「リンゴ」 をサラリと弾き語ると拍手喝采ものだ、とハセちゃんが言っておりました。拓郎を標榜するフォーク酒場のマスターとしては、たまにはお客さんのドギモを抜くような華麗なパフォーマンスを披露しないことには立つ瀬もありません。さぁ、今日から猛特訓だ。 あれ? このセリフ以前も書いたような・・・。そうそうハセちゃんに、店に来るなりからかわれたばかりじゃないか。 「マスター、ティアーズ・イン・ヘブンの練習は進んでる?」。 今度ハセちゃんが来るときにはきっと言われるだろうな。 「どう、マスター、高円寺は歌えるようになりました?」。