マスターの独り言(48)二人の師匠

 フォーク酒場を立ち上げるくらいなので、吉田拓郎が僕に与えた影響というのは、もちろん並大抵ではありません。しかし僕にはもう一人、友人に言わせると 「ハチャメチャ」 らしい僕の人生を決定づけたような大師匠がいるんです。その人・・・永島慎二。青春漫画の巨匠です。『漫画家残酷物語』 、『フーテン』 など若者の青春群像を描いた第一人者です。2007年に「嵐」の主演で「黄色い涙」という映画がありましたが、あの原作は、永島慎二の代表作の一つ『若者たち』 なんですね。

 さて、その 『若者たち』 の登場人物の一人に画家をめざす「マコ」というのがいます。このマコ、誰あろう、実は後に『青い空の日』 を発表するシバこと三橋乙椰なんですね。漫画家になるより先にフォークシンガーになってしまいました(漫画の中では画家志望という設定)。講談社が発行していた『ヤング・フォーク』 に彼の漫画が掲載されましたが、やはり永島慎二の影響が色濃いものでした。

 永島慎二を敬愛する若者は後を絶たず、その中から3人の若い漫画家が注目を浴び、彼らは「三羽ガラス」と呼ばれ一部の熱狂的なファンの支持を得ました。安倍慎一、鈴木翁二、古川益三の3人です。そして驚いてしまうのは、この古川益三氏、後に古本屋を始め、それが今や上場企業、「まんだらけ」になっているということです。

 人生の途上で誰と出会うのか。これはとても大事なことです。吉田拓郎と永島慎二。 おかげですっかりヤクザな人生を歩くハメになってしまいました(笑)。