マスターの独り言(67)FG240

  初めてギターを買おうと思い立ったとき、当時はヤマハ派とモーリス派に分かれていたように思いますが、僕は迷わずヤマハを選びました。FG-240、これが僕が最初に買ったギターです。高校の1年のときから大学を卒業するまで7~8年慣れ親しんだギターだったのですが、どういう風の吹き回しか、卒業するときに同じアパートの隣りの住人にくれてしまいました。隣室とは言え、そう親しいわけでもありませんでしたし、山形出身ということだけは記憶にあるのですが名前も覚えていません。どうしてそんな奴にくれてしまったのか、今となっては返す返すも残念です。

 ひと月ほど前でしょうか、やっちゃんが一人の初老の男性をともない店にやって来ました。はるかな記憶の中で見覚えのある顔。僕は恐る恐る尋ねました。 「間違っていたらすみません。ひょっとして××の○○さんではないですか?」彼は目を丸くしてひどく驚いた様子で 「そうですが、まさか××の名前が出て来るとは思いませんでした。そこにいたのはもう40年も前のことですし、ほんの短い間だけだったですから」 と答えました。 そうなんです、僕はこの人からヤマハFG-240を買ったのでした。この人から買った、という言い方は変ですね。ある楽器屋さんでこの人がギター売り場の担当で、この人にいろいろ相談しながら買った、というべきですね。彼にとってはその他大勢のお客の一人にすぎなかったのでしょうが、僕にとっては、胸躍らせて初めて買う憧れのギターです。そのとき 「あーだこーだ」  と教えてくれたこの人は頼もしい兄貴分だったのです。忘れるはずもありません。こんな再会もあるんだなぁ、としみじみ思いました。

 そういえば山形の彼はどうしているのでしょう。デザイナーを目指していたようですが、デザインの仕事はしているのでしょうかねぇ。そして僕のくれたギターはどうなっているのでしょう。いつかそのヤマハFG-240に再会、なんてことがあったら涙流して感動!です。 ところでFG-240をお持ちの方はいらっしゃいませんでしょうか? もしいらっしゃったらご一報いただけないでしょうか? 高価買入しますよ、いやホントに冗談ではなく。