マスターの独り言(68)拓郎回顧談

 早いもので師走も中盤を過ぎました。この師走は僕にとって思い出深い季節なのですが、マスターの独り言(6)に書いたように1972年12月、 「師走の風」 と題するコンサートで僕は初めて吉田拓郎と話しをしたわけですが(スタッフの一人として拓郎さんに弁当を届け、そのとき二言三言会話をし、拓郎さんが少年マガジンを読んでいるところを目撃し、そしてサインをもらいました)、もう一つ、普通なら取るに足りないことでしょうが、僕にとってはこの上なく嬉しいエピソードをつけ加えたいと思います。

 このコンサートを主催する 「フォーク舎」 の使い走りだった僕にはいろいろ任務がありましたが、ステージと客席の間に待機し、観客がステージに押し寄せないよう見張りをする、という役目もその一つでした。するとやはり拓郎さんのライブ中、ステージに駆け込もうという人たちが何人かいたんですね。僕は彼らを制止しました。ところがなかなか言うことを聞こうとしない彼らとの間で押し問答となりました。そうしたら拓郎さんがすかさず 「いやぁ、下では何やら騒がしいことになっていますなぁ」 としゃべりを入れ、会場の笑いを誘っているではないですか。僕は、僕のしたことをMCの材料にしてくれたことに、今流に言えば、「超感激」しました。

 とまぁ、他愛のない話しですが、僕にとっては忘れることのできないエピソードなのです。1972年12月。僕、高校1年。40年も前の話しです。