マスターの独り言(49)M氏の来店

 『拓郎age』 の行く末を心配してくれる常連さんや友人たちがいます。70年代フォークというマニアックな飲み屋でもありますし、加えて飲食の経験もない僕とアキですので、動作の一つ一つがぎこちなく、それが頼りなく映るのかもしれません。 横ちゃんなど、オープン日に来て以来2ヶ月ぶりに顔を出したときの第一声が 「あ~、よかった。潰れて、もうなくなったかと思っていた」 ですもんね。

 オープン時より店に通ってくれている、文字通りの常連さんたちは、『拓郎age』 のこの1年の栄枯盛衰を具に観察しているわけでありまして、進歩のない僕を苛立たしげに、ときに腹立たしげに見ていることでしょう。辛口評論のストーン氏に言わせると、僕はまだまだ甘いのだそうです。こんなチッポケなフォーク酒場とは言え、資本主義社会の市場原理に基づいて存在の可否が問われるわけであります。お客さんの支持が得られなければ淘汰されていく、当たり前のことですね。そこをキチンと弁えなさいよ、ストーン氏はそう言っているような気がします。

 昨日、古い親しい友人のM氏が僕の噂を聞きつけて飲みに来てくれました。やはり行く末を心配してくれる一人でした。彼の思いが通じたのか、昨日は20人近いお客さんで店が溢れかえり、嬉しい悲鳴をあげました。いつでもこうならバンバンザイなのですが・・・。それにしてもM氏の来店、来てくれた、というただそれだけで僕は大いに勇気づけられました。