2013

マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(103) 幸福のレシピ

「ジメジメしてやだなあ、洗濯物も外に干せないし」 と君が言う  僕は雨が好きなので梅雨の季節嫌いじゃないんだ 「あなたホントはネクラなのね」 と君が言う  いや、きっと怠惰なだけなんだ 雨降りは仕事休んでもいいかなって 「雨と関係ないお仕事...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(102) 謝 罪

あなたたちをどれだけ傷つけてきたことだろう いくら謝っても許されはしないだろうが 償いの方法が僕にはわからないんだ じっと息を殺していればいいのかい 二度とあなたたちの前に現れなければいいのかい 後悔と罪悪感が渦巻いて 今夜もたぶん眠れない...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(101) 漂う者

なんとも寂しい夜じゃないか 人通りもなく灯りも消えて 僕ひとりが取り残されてしまったような ひとりで飲むほど酒好きじゃないんだ 本当は だからこんな夜をどうやり過ごせばいいのか 誰か教えてくれないか どこか遠いところに行ってみるか 夜をぶっ...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(100) つぶやき

いろいろありますねぇ いろいろありましたねぇ  悲喜こもごも ともかくいろいろあるんです  飄々と生きていければと 思いはするのですが  これがなかなかどうして  それでもどうにかこうにか まあなんとか  しかし何と言いますか  一難去って...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(99) 決 意

あの頃はよかったなんて口が裂けても言うんじゃないぞ 来し方を懐かしむにはまだまだ早い やりたいこといっぱいあるんじゃないのか 死ぬまでにやりたいこと 書き出してみなよ 何もないとか 一つ二つしかないなんて そんな寂しいセリフはなしにしようよ...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(98)旅に出たくなる地図Ⅱ

その頃はずっと旅をしていた  青函フェリーを降りて やっぱり函館の夜景ははずせないよね  君は感嘆の声をあげる  ほんのちょっとしたいさかいから   口を閉ざしたまま 沈黙の時間が流れた  ふて腐れて眠ったふりをしていた君が本当に眠ってしま...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(97) 旅に出たくなる地図

その頃はずっと旅をしていた 目的地があったわけじゃない  山陰道をひた走りたどり着いた丹後半島伊根の舟屋  これからどうする?  どうしようかねぇ  もっと真剣にこれからのこと話さなきゃいけないっていうのに  はずまない二言三言の短い会話 ...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(95)雨のレクイエム

こんな悲しい夜 屋根をたたく雨の音  大切なものをどこかに置き忘れた  それは人として してはいけないことだった  もはや僕に救済の手立てはない  雨のレクイエムを聴きながら  ひとり静かに眠りたい  雨よ降れ 風よ吹け  僕の心に棲む悪魔...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(94) 無 題

僕はしがないフォーク酒場の店主 店を始めて2年半がすぎた おだてられたり誉められたり 批判されたり罵られたり いろんなことがあったけど 今自分をみつめてただ一言 「お前、ずいぶん傲慢になったな」 ドアが開くたびドキドキし「いらっしゃいませ」...
マスターの独り言(人生を語らず)

人生を語らず(96) Sの旗

人それぞれに人それぞれの人生があって どう生きれば正しいなんてことは言えない 夢多い人もいれば おそろしく現実的な人もいる 幸か不幸か僕は夢ばかりみてきた 思い続ければ夢は必ず叶うと 夢を叶えた人は言う でもそれは違う 夢破れたドラマは枚挙...